実際に、トレーダージョーズ(以下TJ)はいまやオーガニックスーパーの雄、
ホールフーズを凌ぐ勢いです。
顧客満足をベースとした調査では、北米地区の
「お気に入りスーパーランキング」で2年連続1位となりました。
両者とも規模(全米に350〜400店舗)、売上約$12Billion(約1兆2000億円)と、
度々比較の対象とされますが、人気は数字に出ています。
それにしても、いくら私でもホールフーズは知っていたけれど、
これほどアメリカ人に愛されるTJについて、どうして名前すら聞いたことが
なかったのか?不思議です。
それと関係あるかどうかはわかりませんが、TJのユニークな戦略のひとつに
マス広告をしないというものがあります。
テレビや新聞などに露出はせず、チラシやクーポン、メンバーズカードすらも
存在しません。今日のお買い得、今週の目玉商品!みたいなものがなく
スーパー=安売りのチラシという方程式はTJには当てはまらないのです。
それでも、良いものを安く提供するには、広告宣伝費をカットする以外に
直接的ななにか理由が他にもっとあるはずです。
気になって調べると、やはり、いろいろありました。
TJの安くて、美味しくて、楽しい理由をざっくり整理してみると
こんな感じになるかもしれません。
①安さの秘密
約8割が自社開発のオリジナル商品、プライベートブランド(PB)
というのが安さの最大の秘密のようです。
さらに、商品アイテムも売れ筋に厳選することで回転率をあげているとのこと。
普通のスーパーなら平均50,000点のところ、TJではたったの4,000点というから
驚きです。
驚きです。
確かに、普通のスーパーと比べると、例えばヨーグルトひとつとっても
選べる種類は少ない気がします。
それでも、わたし的には4ー5種類から選べれば十分。
むしろ、わからなくて買って、ハズレ(まずい)可能性が減るなら
ウェルカムでは?と思ってしまいます。
取り扱い数に比例して、他と比べると店舗がかなり小さいことも特徴です。
マンハッタンの3店舗に限って言えば、どこのお店もレジに並ぶ長蛇の人の列の
間をぬって買い物しなければいけないほどの狭さなのです。
地価の高いマンハッタンだからというのを差し引いても、ニューヨーク以外の
他の地域でもTJの店舗は相対的に小さく、売り場面積1平方フィートあたりの
売上高は、ホールフーズの2倍、業界平均の3倍以上とも言われます。
②美味しさの秘密
これはもう、同社も自負する「商品開発力の強さ」に尽きると思います。
この商品開発力の強みこそがTJの強みの源泉なのではないかと、
個人的にはそう感じています。
製造を委託されるのは大手メーカーはTJのオリジナル商品を作るにあたり、
秘密厳守の契約を結ぶそうですが、確かにここでしか手に入らない、
我が家のお気に入り商品、というものがいくつもあるのです。
「ウシさんの絵が描いてあって、
ながーいかたちの、あのチーズがいいの」
と、ピンポイントで、他のじゃダメだと3歳児に言わしめる「モッツァレラ チーズスティック」。
ここまでくると、もう、ホント、偉大です・・・・。
リピーターが多いのもの、きっとこのように、それぞれの家庭に、家族みんなのそれぞれのお気に入りがあり、それが、ここでしか買えない、というオンリーワンの魅力があるからなのでしょう。
そしてこの会社がすごいな、と思うのは、これだけ人気があっても、常にその歩みを止めないところ。ある一定の割合でコンスタントに新商品を投入し、リピーターを飽きさせない工夫、更に良いものを提供し続けるというこの企業努力、なかなかマネできることではありません。
「あのトリュフ塩、激安だったし美味しいし良かったよね。
もう売ってないんだよね。またやらないかな〜」
というように、一時期販売されていたけど、今は店頭に並ぶことはない、
幻の商品、みたいなアイテムも数多くあるそうです。
③楽しさの秘密
パッケージや店内のデザインの他に、忘れてはいけないのがクルーと呼ばれる
アロハシャツを着た従業員の人たちです。
子供たちにステッカー(シール)をくれたり、絵本の読み聞かせをしてくれたり、
フェイスペインティングをしてくれたり。
もちろん、商品の場所を聞けば気持ちよく対応してくれます。
この他にもTJにはアメリカ人も知らない秘密がまだまだたくさんあるようです。
以下サイトでは、商品や店内の雰囲気を感じながらそれをお楽しみいただけます。
60年代にカリフォルニアの小さな商店からはじまったという
誕生物語やタイムラインもHPから見られます。
こちらのページもデザイン、見せ方、読みやすさ、
読者とのコミュニケーション、など、本当に上手くて素晴らしい。
こうしてあらためて見ていくと、やっぱりつくづくおもろい会社です。
経営戦略、組織や人材、SCM、マーケティング、商品開発・・・
どこから切っても、ユニークで興味深いトレーダージョーズ。
どこから切っても、ユニークで興味深いトレーダージョーズ。
スーパーの概念を変える型破りの経営から学ぶこと、多くありそうです。
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