2014年9月18日木曜日

みんな大好きTJの秘密(後編)


実際に、トレーダージョーズ(以下TJ)はいまやオーガニックスーパーの雄、
ホールフーズを凌ぐ勢いです。

顧客満足をベースとした調査では、北米地区の
「お気に入りスーパーランキング」で2年連続1位となりました。
しかも昨年3位に入っていたホールフーズは今年なんとランク外。
(cf:Market Force Information 

両者とも規模(全米に350〜400店舗)、売上約$12Billion(約1兆2000億円)
と、
度々比較の対象とされますが、人気は数字に出ています。

それにしても、いくら私でもホールフーズは知っていたけれど、
これほどアメリカ人に愛されるTJについて、どうして名前すら聞いたことが
なかったのか?不思議です。

それと関係あるかどうかはわかりませんが、TJのユニークな戦略のひとつに
マス広告をしないというものがあります。

テレビや新聞などに露出はせず、チラシやクーポン、メンバーズカードすらも
存在しません。今日のお買い得、今週の目玉商品!みたいなものがなく
スーパー=安売りのチラシという方程式はTJには当てはまらないのです。

それでも、良いものを安く提供するには、広告宣伝費をカットする以外に
直接的ななにか理由が他にもっとあるはずです。

気になって調べると、やはり、いろいろありました。

TJの安くて、美味しくて、楽しい理由をざっくり整理してみると
こんな感じになるかもしれません。

①安さの秘密

約8割が自社開発のオリジナル商品、プライベートブランド(PB)
というのが安さの最大の秘密のようです。

さらに、商品アイテムも売れ筋に厳選することで回転率をあげているとのこと。
普通のスーパーなら平均50,000点のところ、TJではたったの4,000点というから
驚きです。

確かに、普通のスーパーと比べると、例えばヨーグルトひとつとっても
選べる種類は少ない気がします。
それでも、わたし的には4ー5種類から選べれば十分。
むしろ、わからなくて買って、ハズレ(まずい)可能性が減るなら
ウェルカムでは?と思ってしまいます。

取り扱い数に比例して、他と比べると店舗がかなり小さいことも特徴です。
マンハッタンの3店舗に限って言えば、どこのお店もレジに並ぶ長蛇の人の列の
間をぬって買い物しなければいけないほどの狭さなのです。

地価の高いマンハッタンだからというのを差し引いても、ニューヨーク以外の
他の地域でもTJの店舗は相対的に小さく、売り場面積1平方フィートあたりの
売上高は、ホールフーズの2倍、業界平均の3倍以上とも言われます。

②美味しさの秘密

これはもう、同社も自負する「商品開発力の強さ」に尽きると思います。
この商品開発力の強みこそがTJの強みの源泉なのではないかと、
個人的にはそう感じています。

製造を委託されるのは大手メーカーはTJのオリジナル商品を作るにあたり、
秘密厳守の契約を結ぶそうですが、確かにここでしか手に入らない、
我が家のお気に入り商品、というものがいくつもあるのです。

「ウシさんの絵が描いてあって、
 ながーいかたちの、あのチーズがいいの」

と、ピンポイントで、他のじゃダメだと3歳児に言わしめるモッツァレラ チーズスティック」。
ここまでくると、もう、ホント、偉大です・・・・。

リピーターが多いのもの、きっとこのように、それぞれの家庭に、家族みんなのそれぞれのお気に入りがあり、それが、ここでしか買えない、というオンリーワンの魅力があるからなのでしょう。

そしてこの会社がすごいな、と思うのは、これだけ人気があっても、常にその歩みを止めないところ。ある一定の割合でコンスタントに新商品を投入し、リピーターを飽きさせない工夫、更に良いものを提供し続けるというこの企業努力、なかなかマネできることではありません。

「あのトリュフ塩、激安だったし美味しいし良かったよね。
 もう売ってないんだよね。またやらないかな〜」

というように、一時期販売されていたけど、今は店頭に並ぶことはない、
幻の商品、みたいなアイテムも数多くあるそうです。

③楽しさの秘密

パッケージや店内のデザインの他に、忘れてはいけないのがクルーと呼ばれる
アロハシャツを着た従業員の人たちです。

子供たちにステッカー(シール)をくれたり、絵本の読み聞かせをしてくれたり、
フェイスペインティングをしてくれたり。
もちろん、商品の場所を聞けば気持ちよく対応してくれます。

お会計に並んでいると、空いたレジからチリン、チリンとベルの音がして
「1番へどうぞ 」と行き先を案内してくれるお姉さん、なんだか楽しそう。

業界平均より高いお給与と手厚い福利厚生を享受しながら、愛社精神と誇りを持ち、
モチベーション高く働くクルーの魅力もまたTJの人気と無関係ではないはずです。

この他にもTJにはアメリカ人も知らない秘密がまだまだたくさんあるようです。
以下サイトでは、商品や店内の雰囲気を感じながらそれをお楽しみいただけます。

60年代にカリフォルニアの小さな商店からはじまったという
誕生物語やタイムラインもHPから見られます。

こちらのページもデザイン、見せ方、読みやすさ、
読者とのコミュニケーション、など、本当に上手くて素晴らしい。

こうしてあらためて見ていくと、やっぱりつくづくおもろい会社です。

経営戦略、組織や人材、SCM、マーケティング、商品開発・・・
どこから切っても、ユニークで興味深いトレーダージョーズ。

スーパーの概念を変える型破りの経営から学ぶこと、多くありそうです。

みんな大好きTJの秘密(前編)


トレーダージョーズ(通称:トレジョ/TJ)

アメリカ在住の人ならとても親しみあるこの名前、こちらに来たばかりの頃、

友人に「知ってる?」と聞かれても私は相当ぽかんとしていました。

誰?サメ?ピザ屋?女子校?

「おもしろいスーパーだよ」と聞いても当時は
まだなんだかよくわからずにいました。

私にとってスーパーといえば、東京で働いていた頃は特に、

ネイルサロンや美容室のように「行くのが楽しみ」な場所ではなかったから、
かもしれません。

供を抱えながら卵や牛乳やバナナなんかを全速力でカゴに放り込み、
買い物袋をママチャリに突っ込んだなら一目散に退散する、
滞在時間は短ければ短いほどありがたい、そんなところだったように思います。


当時(今も)主婦力の低い私は、買い物なんて近所のスーパーで
ちゃちゃっと済ませればいいと思ってしまう方ですが、
友達の会話に頻出するこの「トレジョ」はどうもただの
スーパーではないようなのです。

「安いし、美味しいんだよね。」
「オーガニックだから安心だし」
「もう他にはあんまり行く気しないわ」
「行った事ないの?楽しいよ!」

などなど、お母さんたちの心をガッチリ掴んでいます。

よーし、そこまでみんなが言うならと「混むから午前中早めに行った方がいい」
というアドバイスに忠実に、早起きして電車を乗り継いでスーパーに行く、
という人生初の体験をしてみました。

入り口は意外に小さく「おや?ここ?」という第一印象。

コストコとか、ウォールマートとか、アメリカのスーパーって、
ものすごく広くて大きいイメージがありましたが、
マンハッタンだからなのかとても小さく、こぢんまりしています。


でも、開店間もなくにも関わらず、レジに並ぶ長蛇の人の列と、カートを押す買い物客ですでにお店の中はごった返している様子。

何度も人にぶつかりそうになり「Excuse me」と「Sorry」を繰り返しながら、狭い店内、カートに子供を乗せてキョロキョロしたり、行ったり来たりすること約1時間半。(スーパー滞在時間新記録か)

やはりここは、これまでのスーパーの概念がちょっと変わる、なかなか面白いお店のようです。

まず、ビジュアルで楽しい。

商品のパッケージやデザイン、エコバックや値札さえも可愛くておしゃれ。
壁のイラストや商品のボードもカラフルでおもしろく、見ていて飽きません。 

ハワイアン?カリビアン?よくわからないけど、遊び心いっぱいで、どこかちょっとディズニーランドみたい。





そして、うわさ通り、安い。
ついついあれもこれも買い込んでしまい、気付いたらレジで大きな紙袋3個分にもなっていました。

物価の高いニューヨーク、これは$100(約1万円)近くいくな、
覚悟してたら、まさかの$60ちょっと!普段行く近所のスーパーの半分の値段です。



最後に、これが一番大事。美味しい!

Non-GMO(遺伝子組み換えなし)というトウモロコシ、甘い。
冷凍食品でも、いい意味で期待を裏切られる、ちょっとびっくりするくらい
美味しいものもありました。

アメリカの食品は危険だと散々聞かされ、それまで化学薬品や
農薬の心配を
しながらビクビク買い物していたことを思うと、商品の多くがNon-GMO、
オーガニック、というのも子を持つ母としては非常に嬉しい。

安全で、安くて、美味しい!ときた。

しかも、サービスもよくて楽しい気分になれる。

これは、、、、行くな。

電車に乗ってでも、帰りタクシー使ってでも行っちゃうな。
他のお店に行けなくなるっていうのもわかる。

と、たった1回の買い物体験で完全にファンになってしまったのでした。


うーん、すごい。これはもはやスーパーのイノベーション
と言っても過言ではないかもしれません。

→(後編)へ続く

Finding a school in Manhattan


In September, it’s Back to School season in New York.

If I say we have to think about a school for our daughter, 
turning 3 this weekend, some people may say, 

“Hey, what are you talking about? It’s too LATE!”

Because her friends have turned 3 or will, 
they will all enter pre-school this month.

Their mothers started to research schools last fall, a year ago.
They had some difficulties with the interviews in a cold winter, 
then finally got the approval letters in spring.

Oh, I didn’t know this shocking fact: that it takes so long for the preparation.

Sorry,  my daughter.
Your mother couldn’t possibly do such a feat.

Although I feel bad for my daughter, it is another, 
bigger shock that for private pre-school 
in Manhattan, tuition is around $20,000 a year on average.

At the famous girls’ school on the Upper East Side, 
the one Paris Hilton attended, tuition
is around $30,000….I can’t find the words..

It costs more than $2,000 a month, if I exclude holidays.

And to my surprise, even if we pay such a huge amount of money for our child,
some schools don’t take care of them all day, every day, but only a few hours, 
two or three days a week.
This unbelievably bad cost performance gives me a headache…

Mmm…. even if we had started last year,
I really wonder if we can send our daughter to pre-school….

Why is this cost so extremely high?
How can people send their child to pre-school so easily?

When I first came to New York, my head was full of question marks, 
but I think I can understand this complex situation little by little.

Most Japanese parents or expats  don’t have to pay themselves; 
their company supports their child’s education.
They don’t have any problems. It’s all clear to me.

Then there actually are superrich people like a Hilton in Manhattan, 
from all over the world.
To such millionaires or billionaires, $30,000 might be equal to $30 or $3…
That’s very clear, too.

Or many parents prepare carefully for the competitive application for 
a prestigious school, pre-kindergarten through high school.
If they send their child to such a school with a good reputation, 
he or she might have a better chance to enter an Ivy League college.
It makes sense to me.

Although in my estimation; most parents in the city may not fit into those categories.

Couples work hard and don’t have money to spare for luxuries, 
but they can still manage to send their child to a private school, 
even if it’s only for a few years.

Such parents may  be longing for a public school after pre-school.
In some way I can understand their parental love.
Or I know some parents are receiving financial aid, depending on income.

But……
We are not rich, double-income or covered by financial aid.

What should we do?

I am at a loss, but I encourage myself and start doing research 
night after night after my daughter goes to sleep,

On the website of the New York City Department of Education ( DOE ), 
I can find a Spanish version,
French, Hindi, Mandarin, Korean…and more than 10 translations, 
but no Japanese…


Sigh… it’s time to test my reading comprehension of English and patience.
While I’m surfing the web, I finally find information that the city provides public pre-kindergarten ( Pre-K ) for 4-year-olds.

Plus.....Wow, really? It’s all free?!
Yeah!!!!

Well, but wait.
One is $20,000 or $30,000, and the other is FREE.
Then why do people send their child to private schools?

Since this unfathomable mystery can’t be solved, 
I ask some mothers who have been living here for a long time.
They say, of course everybody wants to send their child to public pre-K, 
so it’s too competitive to get in. 

Children with elder siblings get first priority, and there are no seats 
for children without siblings.

They don’t take any tests or interview; it’s just luck if there’s availability or not.
To make matter worse, they say the public pre-K program is too limited to 
cover all school districts.

That’s why most children do not have a chance to enter public pre-K, 
and their unhappy parents pay a lot of money for private pre-school.

I see…but I still cannot give up on trying to get public service.
Are there any other ways?

I’m wondering if it’s human nature, but as I’m really desperate,
I can catch difficult, tiny English letters word by word on the website.

Again I read through the DOE website very carefully.
They prepare alternative service for children who can’t get into school.

They say "First Come, First Served”

So I need to fight to get approval, but it seems worth trying.

Well, I’m so surprised that the cost of educationt from elementary
to high school, if it’s public, is all FREE.
However, if it’s private it might be more than tens of millions more…
What a great difference!
Is it the national character to make things so black and white?

Not surprisingly, many parents aim to send their children to public schools.
I fully realize that to families raising children, where they live is 
closely related to school.

In New York City, especially Manhattan, even in public schools, 
each school has different features.
For example, their academic level, students’ races, school policy 
and curriculums vary.

If parents want to send their children to public schools, 
some of them think about a school first, and then start to search for
a place to live within the school district, just like us!

Around a neighborhood with good schools, there are many rich families
with high incomes, and housing prices are high, too.
In contrast, at schools in low-income residential areas, 
academic levels are proportionately lower and reflect the ethnic makeup.

I heard that in a very popular school district in Greenwich Village, 
some parents are eager to send their child to the public school, 
which has a good reputation. 
To qualify for the school, they even rent a studio in the school district.
It’s very similar to the problem of public nurseries in Tokyo.

Even so, families are assigned to different, unwanted schools 
in the next district and have no choice but to send their child to a private school.
It means that applying to a popular school with a long waiting list must be a big gamble..

Many people are sick and tired of such a competitive situation 
in Manhattan and think,
Why don’t we get out of the city and buy a big house with 
a huge backyard in the suburbs if we spend a same amount of money?”

It’s very natural to think like that, and many couples leave the city 
once they have a baby.

To the families who want their children to go to public school, 
from elementary to high school, it’s very reasonable to move and 
rent or buy a new house depending on the schools.

In the same way, we’ve been searching for a new place to live to look toward
the future when my daughter can go to a public kindergarten when she is 5.

A kindergarten year is a preparation for 1st grade, 
but it seems like a unique system in America.
Since kindergarten is directly connected to the next five grades, 
it’s very important for parents to select a kindergarten.

But how to select an elementary school…
It’s still too far away for me to feel it is real.

Again…I work till late at night straining my eyes on the DOE website..

Once I start my research, I’m surprised that almost everything about 
a public school in New York City can be seen on the web! 


I’m overwhelmed by the mass of data, including test scores categorized 
by subjects, students’ progressive, bullying research, teachers’ salaries 
and reports from parents. Everything is totally open to the public!

What transparency…
I think I see America’s open-mindedness here.

When parents start to search for a school, the DOE never sends us 
a letter about application process. We need to do everything ourselves.

Some parents hire a private consultant, but usually, no one helps us.
We need to face this big project alone.

Parents have to keep checking the website a-- nd not only DOE’s, 
but many others -- and carefully collect information and analyze it.
Then if necessary, we have to hear the real voices some parents 
in front of the school gate.
Even if we are rejected for an appointment for the school tour, 
we can’t be shy, but have to negotiate…

So, parents have to have the ability to collect the right information 
and analyze it objectively. 
Moreover, it’s very important to have great negotiating and 
networking skills, and we should be patient and self-motivated…etc.

Sigh…we need to have countless competencies.
Where is such a super parent in this world?

So, especially for a mother like me who has recently come from abroad, 
searching for a school and a home is almost a full-time job.

Everything is our own responsibility.
This is America…..

I miss the ward office in Tokyo, sending me a letter notifying me of 
vaccines for my daughter.
In Japan, I often complained that the line was too long to wait or 
I was sent around a ward office, but it was nothing!! When I think it over, 
Japan is a good country, really…

Anyway, what is a GOOD school?

Is it good for parents?
While I’m in working on it, I tend to forget, but the important thing is 
that my daughter likes the school and wants to go there every day.
I want to remember all the time that it’s for my child, not for me.

Mother has such a wish and keeps working tonight in front of the PC.



2014年9月2日火曜日

マンハッタンで幼稚園を探す

9月、ニューヨークでも新学期がはじまりました。

今週うちの娘も3歳になりますが、そろそろ幼稚園のこと考えなきゃ、
と言うと、

「ちょっと、ちょっと、あなた今ごろ何言ってるの? It's too LATE !」

と、どこから檄が飛んできそうです。

というのも、娘と同学年の今年3歳になった(or なる)子の多くが今週から一斉に
プリスクール(私立幼稚園)に通い始めるのです。

周りのお母さんたちは、ちょうど1年前の今頃からリサーチをはじめ、極寒の
真冬にいくつもの受験や面接に奮闘し、春には合格通知を手にしていたという
衝撃の事実が。

がーん、、、娘よ、ごめん。
4月にここに来た母さんにその芸当は無理だったよ・・・。

と、娘には申し訳ないと思いつつもマンハッタンのプリスクールの授業料は
平均約年間2万ドル(約200万円)、パリス・ヒルトンが通ったという
アッパーイースト超名門私立女子校に至っては、3万ドル(約300万)
というからもう・・・言葉がありません。

夏休みやクリスマスなどなんだかんだお休みを考えると、ざっと見積もっても
月々約2,000ドル(約20万円)以上の出費。

しかも、これだけ払っても半日プログラムだったり、週2−3回という学校も多く
CPを考えると頭が痛い。
うーん、・・・・例え去年からここにいたとしても、果たして我が家は娘を
プリスクールにやれたかどうか、、、

それにしてもこの破格の授業料はなに?
なんでみんな、そんなにぽーんと行かせられるの?

と、来たばかりの頃はひたすら????だらけだった頭の中もようやく
最近、少しずつ整理されてきました。

まず、日本人、他、海外からの駐在員のご家庭は会社から
教育費が出ますので問題ありません。うん、クリア。

それから、ヒルトンのような超セレブが実在するのがマンハッタン。
世界中から桁外れのお金持ちが集まってくるわけでうちにとっての
300万円は彼らにとって300円、いや30円?という世界。
うん、これもわかりやすい。

高校まで一貫教育の超名門幼稚園は、幼稚園入学がアイビーリーグに
直結するらしい。このようなお受験組相当数いる模様です。
これまた、わかりやすい。

そしてこれは全く勝手な推測ですが、おそらく
多くが該当すると思われる一般的な共働き家庭。

夫婦協力して、ある程度世帯収入があれば、
まあなんとかやれないことはないから、1−2年がんばろう。
でも小学校からは何が何でも公立行かせるぞ、というプランを立てる。
こういうお父さん、お母さんの親心はなんとなく理解できる。

ファイナンシャルエイドという補助制度を使う手もある。

でも・・・・駐在でもなく、お金持ちでもなく、今のところ共働きでもない。
ファイナンシャルエイド対象外の、我が家は一体どうすれば・・。

途方にくれながら子供が寝た後、夜な夜なリサーチする日が続きました。

New York Education Department ( DOE )のホームページ、スペイン語はもちろん
仏、印、中、韓、その他10カ国語の翻訳ページが用意されているのに日本語は
ない、、、、

英語の読解力と忍耐力を試される中、ふらふら彷徨ううちに、
4歳から行ける公立幼稚園があるという情報を発見しました!!



しかも、え?ホント?無料なの?!
やったーー!

ん?でも、待てよ。
かたや200万、300万。かたや ”タダ”。

って、どういうこと、これ?
じゃあなんで、みんな公立に行かせないの?

謎が深まるばかりなので、先輩ママなどにアドバイスを求めると
当然、みんな行かせたい。故にかなりの倍率だそうで、
優先枠で入れる兄弟がいる子でほとんど席は埋まってしまうそうです。

テストがあるわけでもなく、ただひたすら運。席が空いているか否か。
しかも、全ての地区に公立幼稚園のプログラムがある訳ではない。
となると、ほとんどの子はやっぱり入れなくて渋々
私立に行かせている親も少なくないというのが現状のようです。

なるほど、、、でもまだ公立をあきらめたくない。
他に何か手はないものか・・・
人間、本当に必死になると苦手な細かい英語の文字も、
一字一句キャッチできるから不思議です。

再びDOEの資料をじーっくり読み込むとダメだった場合の受け皿となる
無料プログラムがちゃんとあるではありませんか!

"First Come, First Served"(早いもの勝ち)

ここで母は闘わなければいけないけれど、やってみるだけの価値はありそうです。

それにしても、小中高まで公立なら無料、
私立なら数千万という教育費のこの差たるや。。
どこまでも白黒ハッキリはお国柄でしょうか。

当然、公立を目指す家庭が多く、ニューヨークの子育てファミリーに
とって学校探しと家探し、この2つは切っても切れない密接な関係
あることを痛感する毎日です。

ニューヨーク、そしてマンハッタンでは、住むエリアによって
公立学校の学力、生徒の人種、学校のカリキュラムや方針が大きく異なるため
公立を目指す場合、自ずと、学校探し→家探し、という順番になるわけです。

良い学校があるエリアには所得の高いファミリーが集まり、家賃が更に高騰する。
逆に低所得層の多い地区は悲しいかなやはり学力レベルは比例し、人種構成にも
偏りが見られます。


グリニッジ・ヴィレッジなどの超人気学区では、お金のある親でさえ
公立を狙い、わざわざワンルームマンションを借りて仮の住所で応募
するくらいの事態になっているとか。
これ、都内の保育園の待機児童問題とかなり状況は似ている気がします。

そこまでしても、希望とは違う、隣のあまり治安のよくない学区の学校に
アサインされて、泣く泣く私立に行かせる親もいるというのを聞くと、
ウェイティングリストが多い地区はリスクが高すぎて危険すぎる賭けに
なりそうです。

それならいっそ、マンハッタンを出て同じ金額で郊外の庭付き一軒家を
買ったらどうか?と考えるファミリーも、もちろん多くいます。

子供が生まれる=マンハッタンを出て行くご家庭が多いのも事実です。

小学校から高校まで公立を前提に考えている家庭にとっては、子供の学校の
ために郊外に引っ越す、家を買い替える、というのは極めて合理的、というか、
そうせざるを得ないお財布事情があるのです。

我が家も5歳から入るキンダーガーデン(幼稚園年長)を見据えて、ここ数ヶ月
新しい住まいを探しています。
幼稚園の年長さんにあたるキンダーガーデンは、言わば小学校1年生にあがるための
準備クラスとでも言うのでしょうか。
アメリカ独特の教育制度のようですが、小学校に直結しているのでどこの
キンダーガーデンに行かせるかは、大変重要です。

でも、どうやって小学校を選んだら・・・
まだまだ先のことという感覚で実感がわかない。

またまたDOEのサイトで目を凝らして夜なべ仕事です。。。。

そして調べると、出るわ、出るわ、小学校のありとあらゆるデータが。
その情報量の膨大さには圧倒され、驚くばかり!

生徒の人種構成や科目別の学力レベル、テスト結果、昨年からの伸び率などはもちろん、
いじめについて、先生のお給料や父兄からのアンケート結果まで、丸々全てオープンなのです。


なんという透明さ。。
アメリカという国の懐の大きさを感じる、というかなんというか。

DOEからレターが来るわけでもなければ、親が何もしなければ、
何もはじまらないのがニューヨークの学校探し。
誰も、何も手伝ってはくれないけれど(有料コンサルタントを雇う親もいます
DOE以外の数多あふれる民間サイトも含め、念入りに情報収集し、
分析し、実際に学校の門の前で在校生の父兄にヒアリングし、
学校見学のアポを取り、断られても交渉し、、と、
親はフルタイムでこの仕事に挑まなければなりません。

情報収集力と分析力、鵜呑みにしない客観性、交渉力、ネットワーキング力、
そして最後は忍耐力とセフルモチベートできる力、、などなど。。

親に求められる学校探し能力のコンピテンシー、数え上げたらキリなし・・・

なにからなにまで自己責任
これがアメリカ・・・

予防接種のお知らせまで郵送してくれた日本のお役所が懐かしい。
待ち時間が長いとか、たらい回しにされたとか文句言った自分を
今、ここに呼んで土下座させたい、、ごめんなさい。。
日本って本当にいい国です。。

それにしても、”良い学校”って何でしょう?


親にとっての良い学校?
ここまで親の出番が多いとついつい忘れてしまいそうですが、
子供が「明日もまた学校に行きたい」と感じることがいちばん大事で、
いつだって、子供のための学校、であることを肝に銘じなければ。

そう願いながら今夜も母の夜なべは続くのでした。