映画「プラダを着た悪魔」の中では、アン・ハサウェイが携帯片手に、もう片方の手でスタバのグランデを4つ載せたトレーをグラグラさせながら鬼編集長に呼ばれて大慌てで出勤するシーンがありましたが、2006年制作当時と今、コーヒー事情はだいぶ違う様子です。
今、ファッション業界や出版業界のニューヨーカーが愛飲しているのは、もっと違うコーヒーかもしれません。
街を歩いていても、いかにもベジタリアンな色ぶちメガネにチェックシャツのお兄さん、スラッとしたブロンド美人のお姉さんたちが手にしているのは、アン・ハサウェイが持っていたようなグランデの半分くらいの小さなカップ。
どうやらこれは、サンフランシスコやポートランドなど西から伝播した”3rd Wave Coffee” (コーヒー第3の波)の影響のようで、グルメコーヒーとかスペシャリティコーヒーと呼ばれる新世代のコーヒーがあっちでもこっちでも大人気です。
それは単に一部のコーヒー愛好家の間で話題になっている、というのとはどうも違うみたいで、かなり市民権を得ている感があります。
ファッショナブルなだけじゃなくて、豆にも製法にもこだわる本物、最高品質。そんなイケてるコーヒーを楽しむオレたちって最高にクールだろ?、という声が聞こえてきそう。なんていうかこう、ステイタスみたいになっていると感じるのは私だけでしょうか。
観光地の近くは別として、地元ピープルが集まる土曜日のブルックリンのお店では、店内ほぼ全員Macユーザー、顔良し、スタイル良し、ファッションセンス良し・・・みたいな若者が、まーったり時間を過ごしていました。
いや、でも、実際にかなりおいしいのです。
我が家のダンナがあまりにも絶賛するので、勧められるがままにまず飲んでみたのが「ブルーボトルコーヒー」アイスラテ。
ちょっと酸味は強めで個性的だけど、確かに濃厚さといい、芳ばしさといい、全体のバランスといい、、コーヒーに特に拘りのない素人の私でも違うのがわかる。アメリカでもこんなに美味しいコーヒーが飲めるなんて・・・小さな感動さえ覚えました。
ランチ時、ロックフェラーセンターというビジネスマンと観光客で最高潮に賑わう場所、時間でも、お店の雰囲気や店員さんもどことなくゆったりしていて、感じがいい。
また来たいな、と思わせるそういう空気感がありました。
でもなんといっても、人々は美味しいからリピートするわけでそのこだわりは徹底しています。
豆の産地はもちろんのこと、その鮮度や焙煎にも徹底的にこだわり、一杯、一杯、丁寧にドリップで入れてくれるという、いいものにはやっぱり理由がありました。
でも、これってどこかで知っているような。
よく行ってた「神田コーヒー」in 神保町?
心地良いジャズと豆を挽くロースターの芳ばしい香り。
おしゃれで優しげなお兄さんがゆっくり入れてくれる味わい深い珈琲。
娘を保育園に送った後の出勤前のあの10分。しみじみ癒されたっけ。
お兄さんとのカウンター越しのおしゃべりも楽しくて、ついついまた寄っちゃう。。
会社帰りのお父さんたちが赤提灯に「ついふらっと」行っちゃう気持ち、わかるな〜
そんなお店だった・・・(回想終わり)
カンダコーヒー (千代田区神保町) |
それもそのはず。
ブルーボトルコーヒーの創業者は、日本の喫茶店からも多大なインスピレーションを受けているとのこと。インタビュー記事などを読むと、自宅のガレージでコーヒー作りを始めた職人気質の人で、個人商店の良さを感じさせるようなそんな店作りを目指していると言うではありませんか。
古き良き日本の喫茶店文化がアメリカでウケる。
なんでかわからないけど、すっごく嬉しい・・・!
「コーヒー界のアップル」と言われるブルーボトルコーヒーは、この秋、日本上陸とのことで大変話題になっていますが、これもまた逆輸入みたいで面白い現象です。
更にググってみますと、2nd Wave of Coffee(コーヒー第2の波)というのは、スタバやタリーズなどコーヒーチェーンがイタリアの影響を受けて発展したもの。今回の3rd Waveはやはり日本の喫茶店文化の影響を受けているという記事がたくさん出てきます。
実際、ブルーボトルの店舗や、他のブランドのお店でもカウンター周りでメリタのフィルターペーパー、ハリオのドリッパーなど日本製の家庭用コーヒー用品がちょこちょこ並んでいたりします。
そしてそれらを見つけては、いちいち「おおっ!」と一人、嬉々としてしまうのでした。
こんなところで地味〜に、でも着実にいい仕事をしている日本のモノたち。モノ作りメーカーさんたち、がんばってます。
それにしても「手間をかけても、いいのものを少し」この日本的な感じはなんだろう?
大きいことはいいことだ、質より量、効率的、合理的大好きアメリカに一体何が?
大きいことはいいことだ、質より量、効率的、合理的大好きアメリカに一体何が?
疑問が残りつつも、確かに何かが変わりつつある予感を感じるのでした。
このあたり、かなり気になるところ。今後もこの潮流は注目していきたいです。
ブルーボトルコーヒーではドリップ方式で一杯ずつ丁寧に。 HARIOやメリタなど日本製の商品も販売。 |
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